【表具修理】昔の仕事シリーズNo.003【掛軸】
今回は鶏の絵。
この作品も洗いをしたらずいぶん綺麗になりました。
あまり白くなると、お客さんによっては「古い味わいがなくなってしまった」と怒られることがあるので、そのあたりは作業前に確認します。ただ、たいていのお客さんは白くなったほうが喜ばれます。
彩色された絵は、絵の具の種類によって落ちやすいものがあるため、事前にニカワなどで絵の具を定着させます。
昔の絵の彩色には、顔彩と呼ばれる岩絵の具(鉱物などを砕いて粉状にしたものを、ニカワで溶いた絵の具)が使われることが多いですが、古くなるとこのニカワ成分が劣化して、顔料が落ちやすくなります。
そのため、お湯で溶いたニカワを塗ることで、再び絵の具の定着力を高める、ということです。透明のアクリル系塗料を定着材として使うこともあります。